2015年09月30日
ロシア兵の生活―内務省スペツナズ
ロシア旅行でMVD(連邦内務省)スペツナズのドブルイニン氏(偽名)とも知り合ったのでどうやってMVDスペツナズになったのかを聞いてきました。
MVDの主な任務は国内の軍事上重要な場所を警備することです。
ドブルイニンは義務教育終了後パン屋で働いていましたが、18歳で徴兵リストに乗り、はじめ親友と一緒に海軍歩兵を志願していました。
徴兵時の体力テストで優秀な成績を収めたため、海軍歩兵スペツナズに志願しようと思っていたところ、先にテストを終えていた親友は
担当官に呼び出されて待合室からいなくなってしまっていました。そこでドブルイニンは自分の限界に挑戦しようと思い、MVDスペツナズに志願しました。
学生時代は射撃部でトロフィーを貰ったことがあり、また身体能力、主に持久力に優れていたそうです。

ドブルイニン
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●入営の流れ
1、徴兵検査後、テストの結果に基づいて希望部署(陸軍、海軍、内務省とか)を選ぶ
2、テストのスコアシートを内務省の徴兵担当官に見せ、担当官が了承したらついていく
2、公園で鉄棒などを使ったテストを受け、合格したら後日まで待機
3、特定の勤務地に召集される
4、基地へ
●基礎教育課程
入営してすぐにスペツナズになるわけではなく、まず訓練課程に編入される。
この訓練課程にはスペツナズと一般兵士の区別はなく、MVD所属の隊員はすべて同じ訓練を受ける。
◎1ヶ月目~2ヶ月目
・基地に慣れる
・体力養成
・行進訓練
・教本受領
◎3ヶ月目
・戦術、銃に関して学ぶ
・装備受領
・「歩兵隊」へ入隊
「歩兵隊」での訓練
・3kmを完全装備(鉄帽、ベスト、拳銃、手榴弾など全て)で走る。制限時間あり
・16回懸垂
・50回腕立て
◎4ヶ月目~5ヶ月目
・特別な装備を受領
・指揮官と面談
・指揮官の前でテストを受ける
・スペツナズへ
最後の試験を受けて合格すればスペツナズになる。
試験は
・編み上げ靴ひもなし、靴下なしで3キロ走る
・救急処置のテスト
・AK74を使った射撃
・スパーリング(3人倒す)
この試験に合格し、オリーブ色のベレー帽を受領すれば新人として任地に赴くことができる。
二ヵ月ごとにさらに上級の試験が行われており、これに合格すればグリーンベレー(熟練兵を意味する)を受領できる。
ちなみにMVDはベレー帽の垂れを左側にする。
●MVDスペツナズ(通常時)の一日
◎起床6:00
一般部隊と同じくスペツナズにもニィバルニー(当番兵)が存在する。
彼らについては過去記事
◎起床6:00
◎体操6:30~7:00
◎掃除、整頓、用意8:00~9:00
◎朝食9:00~10:00
◎学科10:00~12:00
45分の授業が3クラスあり、英語、数学、公民などいろいろなものを習う(軍事関連の授業ではなく教養関連)
◎間食12:00~13:00
◎自由時間・午睡13:00~16:00
自由時間とは言われているが、寝ないと怒られるので実質午睡
◎戦術教練16:00~18:00
◎夕食18:00~19:00
◎行進訓練19:00~20:00
◎シャワー20:00~21:00
◎就寝21:00~22:00
一般部隊と比較して分かるのは明らかに訓練時間が長いこと、午睡の存在、学科の存在である。
ドブルイニンはそこまで背が高くなく(170センチに届かないほど)で肩幅も広くないが、彼曰く「スペツナズは皆子供のような体型をしている」である。
証拠に任地の写真も見せてもらった(いいのか……)
なお、この記事は彼に質問した時にとったノートを基にしていますが彼のロシア語を英語が話せるロシア人の友人に通訳してもらいながらだったのと、野外で書いたので字が汚かったため正確でない所があります。また彼も少しぼかして伝えていると思うので、あくまでも参考程度に捉えてください。